前回の記事では、新NISAとインデックス投資信託を組み合わせた長期資産形成についてお伝えしました。今回はその核心にある「ドルコスト平均法」を深掘りします。積立投資がなぜ合理的なのか、その仕組みを理解すると、相場が下がっても慌てなくなります。
ドルコスト平均法とは?
**ドルコスト平均法(Dollar-Cost Averaging)**とは、価格が変動する金融商品を、一定の金額で、定期的に買い続ける投資手法です。
金額が一定なので、価格が高いときは少ししか買えず、価格が安いときはたくさん買えます。
具体例で理解する
毎月1万円を積み立てる場合を見てみましょう。
| 月 | 基準価額 | 購入口数 |
|---|---|---|
| 1月 | 1,000円 | 10口 |
| 2月 | 500円(暴落) | 20口 |
| 3月 | 800円 | 12.5口 |
| 4月 | 1,000円(回復) | 10口 |
4ヶ月の合計: 投資額4万円、取得口数52.5口
平均取得単価 = 4万円 ÷ 52.5口 ≒ 762円
4月の価格は1,000円ですから、762円で仕込めたことになります。一括で1月に4万円を投資した場合(1,000円×40口)と比べると、大きな差が出ています。
ポイントは「暴落時にたくさん買えた」こと。 下落を恐れるのではなく、安く仕込めるチャンスとして捉えられるようになるのが、この手法の最大の強みです。
一括投資と積立投資、どちらが得?
「まとまったお金があるなら一括で投資した方が良いのでは?」という疑問はもっともです。
理論上、右肩上がりの相場が続くなら一括投資の方が有利なケースが多いです。早い段階から多くの資金を市場に置けるからです。
しかし現実には、
- 相場のタイミングを完璧に読める人はいない
- 高値で一括投資した直後に暴落するリスクがある
- 精神的なストレスが大きく、途中で売ってしまいやすい
という問題があります。ドルコスト平均法は最大リターンを狙う手法ではなく、リスクを平準化して”退場しないための”手法です。長期投資で最も大切なのは市場に居続けることであり、その観点でドルコスト平均法は非常に優れています。
新NISAとの相性が抜群な理由
前回の記事でお伝えした新NISAの「つみたて投資枠(年間120万円)」は、まさにドルコスト平均法のために設計されています。
毎月コツコツ、非課税で積み立てる。 この組み合わせがいかに強力か、改めて整理してみましょう。
① 感情に左右されない仕組みができる 積立設定をしてしまえば、自動的に購入が続きます。「今は相場が怖いから休もう」という判断ミスを防げます。
② 下落が「お得」に変わる 相場が下がるほどたくさん購入できるため、長期的には平均コストが下がります。市場の下落ニュースを見ても、「今月はたくさん買えるな」と思えるようになります。
③ 利益が非課税になる 通常なら約20%引かれる税金が、新NISAの枠内ではゼロ。ドルコスト平均法で積み上げた利益をまるごと受け取れます。
「下落相場でも続けられるか?」が分かれ道
ドルコスト平均法の効果を最大限に引き出すためには、下落時こそ継続することが不可欠です。
2020年のコロナショックでは、世界の株式市場が1〜2ヶ月で30〜40%下落しました。しかしその後、市場は急回復し、最高値を更新していきました。あの時期に積立を続けた人は、安値で大量に仕込めたことになります。
怖くて売ってしまった人、積立を停止した人は、この恩恵を受けられませんでした。
**「何もしないことが最善の行動」**というのは、前回の記事でもお伝えした通りです。ドルコスト平均法は、その「何もしない」を仕組みとして実現してくれるものです。
まとめ
- ドルコスト平均法とは、一定金額を定期的に買い続ける手法
- 下落時にたくさん買えるため、平均取得コストが自然と下がる
- 最大リターンを狙うより、リスクを平準化して市場に居続けるための戦略
- 新NISAのつみたて投資枠と相性が抜群
- 効果を発揮するのは長期間継続した場合に限る
「毎月決まった額を、決まった日に、自動で積み立てる。」
シンプルですが、これが長期的な資産形成においてもっとも強力なアプローチのひとつです。難しいことは何もありません。まずは証券口座で積立設定をするだけで、あとは時間があなたの資産を育ててくれます。


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