車が好きな人には少し刺激的なタイトルかもしれません。でもこれは、車を否定する話ではありません。東京・大阪・名古屋などの大都市圏を除けば、車は「あると便利」ではなく「ないと生活が成り立たない」インフラです。私自身、電車やバスだけでは日常の移動が到底まかなえない地方都市に住んでおり、車は完全に必需品です。問題は車が必要かどうかではなく、その「道具」に必要以上のお金をかけてしまうことです。車の本質に立ち返れば、何を買うべきかはシンプルに見えてきます。
車の目的は何か
そもそも車は何のためにあるのか。
人を安全に、目的地まで届けること。荷物を運ぶこと。 それだけです。
この目的に照らしたとき、必要な性能はシンプルに絞られます。安全に走れること、必要な人数と荷物が乗せられること、壊れにくいこと、維持費が安いこと。それ以上でも、それ以下でもありません。
では、高額な輸入車・スポーツカー・大排気量のSUVは、この目的を高水準で果たしているかというと——必ずしもそうではありません。むしろ維持費・保険料・燃費の面で、「移動の道具」としての効率は下がることすらあります。
「速い車」「個性的なデザイン」は必要か
公道には制限速度があります。一般道は60km/h以下、高速道路でも100〜120km/h。どれほど高性能なエンジンを積んでいても、その性能を合法的に発揮できる場面はほぼありません。目的地に着く時間はほとんど変わりません。
デザインへのこだわりも、個人の自由ではありますが、冷静に考えると「見栄」に近い部分があります。誰かに見せるための車、ブランドで自分を表現するための車。それが目的になったとき、車は「道具」から「消費の象徴」に変わります。
本当に必要なスペックとは
「移動の利便性向上」という目的を軸に、車選びで本当に重視すべき項目を整理します。
乗車定員と積載量
家族の人数・よく乗る人数・積む荷物の量。これが最初に確認すべきことです。大きな荷物をよく運ぶなら、ラゲッジスペースの広さが重要です。必要以上に大きな車は、駐車・取り回しの手間と燃費の悪化を招きます。
スライドドアの有無
子どもがいる家庭や高齢者が同乗するケースが多い場合、スライドドアは非常に有効です。狭い駐車場でもドアを大きく開けられ、小さな子どもの乗り降りが格段に楽になります。高齢の親を乗せる機会が増えてきた方にも、乗り降りのしやすさは重要な選択基準です。利便性という観点で、スライドドアは確実にステータスを上げる装備です。
燃費
燃費は毎日のランニングコストに直結します。年間1万km走るとして、リッター15kmの車とリッター25kmの車では、ガソリン代だけで年間数万円の差が生まれます。10年乗れば数十万円の差です。ハイブリッド車の燃費性能は、長期的に見て大きなアドバンテージになります。
本体価格・税金・維持費
車両本体価格が高ければ、それだけ減価償却も大きくなります。新車だけでなく中古車も検討することも必要です。新車は購入した瞬間から価値が下がり始め、数年で大きく価値が落ちることも珍しくありません。加えて、排気量が大きいほど自動車税が高く、外車は部品代・工賃が割高になりがちです。本体価格・税金・維持費のトータルで考えることが重要です。
高速走行を見据えた最低限の馬力
一方で、馬力をまったく無視していいわけでもありません。高速道路での合流・追い越し・長距離移動では、ある程度のパワーが安全性に直結します。「必要十分な馬力」は安全のためのスペックです。過剰な高出力は不要ですが、非力すぎる車も困ります。
安全性能
これだけは削ってはいけない項目です。自動ブレーキ・車線逸脱警告・アダプティブクルーズコントロールといった先進安全技術は、近年の国産車にも標準装備されてきています。高級車でなくても、十分な安全性能を持つ車は選べます。
著者の個人的なおすすめ――トヨタ シエンタ
余談になりますが、私が乗っているのはトヨタのシエンタです。走行距離はすでに23万キロを超えています(笑)。
これだけ走っても現役で動いていることが、この車の信頼性を何より雄弁に語っていると思います。
シエンタをおすすめする理由は、ここまで挙げてきた「移動の道具」としての評価軸をほぼすべて満たしているからです。
5〜7人乗りで積載力も十分。 家族での外出から、大きな荷物の運搬まで対応できます。
スライドドアが標準装備。 子どもの乗り降り、荷物の積み下ろし、狭い駐車場での利便性が格段に上がります。
コンパクトなボディで取り回しが楽。 ミニバンでありながら全幅が狭く、都市部や狭い道でも扱いやすい。
本体価格と維持費のバランスが良い。 輸入ミニバンや大型SUVと比べて、圧倒的にコストパフォーマンスが高い。台数が出ている車なのでタイヤなど消耗品パーツ供給が豊富。
23万キロという実績が示す通り、長く乗れる信頼性も折り紙付きです。「総合力で選ぶなら」という問いへの、私なりの答えがシエンタです。
車にかけたお金を投資に回したら
仮に、同じミニバンカテゴリーで比較して、見栄を張った選択と合理的な選択の差額が100万円あったとします。その100万円を新NISAに回し、年率5%で10年運用すると約163万円になります。さらに燃費・税金・保険の差額が毎年積み重なれば、10年後の差は200万円を超えることもあります。
車を「合理的に選ぶ」だけで、老後の資産が大きく変わる。見栄にお金をかけないことの、現実的なリターンです。
まとめ
- 車の目的は「人と荷物を安全に運ぶ」こと。速さとデザインは優先度が低い
- 重視すべきは乗車定員・スライドドアの有無・燃費・本体価格・維持費・安全性能・必要十分な馬力
- 浮いた差額を投資に回せば、10年後の資産に大きな差が生まれる
車は住宅に次ぐ大きな買い物です。「何となくかっこいいから」ではなく、「何のために乗るか」を軸に選ぶ。それだけで、お金の使い方はずっと賢くなります。


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